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「雇用を守る震災ホットライン」報告

2011年3月26日・全国ユニオン主催
「無給では生活できない!」全国ユニオンに寄せられた293件の悲鳴

震災に伴う無給休業、派遣切り・解雇が続々

●雇用形態別では派遣が107件で3分の1以上、職種別では製造が88件で最多に
3月26日に全国8か所で開設した「雇用を守る震災ホットライン」には293件の相談が寄せられました。相談内容(複数分類)では、休業・自宅待機に関する相談が221件と最も多く、次いで解雇・契約満了28件、労働時間短縮15件などでした。雇用形態別では派遣が107件で最も多く、非正規雇用が大半を占めました。
都道府県別では東京都48件、宮城県31件、愛知県25件、福島県19等件…と続いており、被災地以外でも震災に伴う無給休業や派遣切り・解雇などの問題が多く発生していることが明らかになりました。
職種別では、製造88件が最も多く、販売28件、コールセンター20件、旅館・式場・飲食店16件…と続いています。

●計画停電などで広がる無休の休業
計画停電に伴う無給休業により生活できない状態に追い込まれる非正規労働者が続出しています。
被災地以外の神奈川、愛知、岡山などでも、工場で部品が入ってこないことを理由に、派遣労働者を中心にした非正規労働者が自宅待機になっているケースが目立っています。このほか、飲食店や販売では顧客減、コールセンターでは営業自粛、などを理由に休業を命じられています。しかし、休業手当については、出すとも出さないとも言わないケースが多くなっています。また、計画停電や部品が調達できないことなどにより、工場や飲食店では働く時間を短くしている変更しているケースもありますが、多くが時給制となっている非正規社員の賃下げにつながり、生活不安を増幅させています。
これらは、少なからず「計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと」という厚生労働省の通達(平23・3・15 基監発0315第1号)が影響していると考えられます。

●散見される便乗とも思える解雇・契約打ち切り
「解雇・契約満了」の相談は28件ありました。「計画停電で収入が減少した。賃金2割カットでもよいなら継続雇用するがそうでなければ解雇と言われた」(60歳代・男性・正社員・東京)、「震災後、休業になり、その後、300人が解雇される」(20歳代・女性・派遣・宮城)など、便乗解雇・派遣切りが増えています。無給休業からそのまま解雇、派遣切りにつながるケースが多く、2年前のリーマンショックを上回る規模での派遣切り、非正規切りが行われそうです。
全国ユニオンでは、震災に伴う休業についてすべて保障がなされるよう救済(休業手当または雇用保険特例措置)を求めていくとともに、震災理由の無制限な解雇や派遣切りが行われないよう国や企業に働きかけていきます。

- 相談内容の集計結果(項目別)-
相談内訳(複数分類)

相談内容 件数
休業・自宅待機 221
解雇・契約満了 28
労働時間短縮 15
内定取り消し 2
その他・不明 41
総項目数 307

性別

男性 125
女性 138
不明 30
合計 293

年代別

10代 1
20代 27
30代 49
40代 35
50代 16
60代 14
不明 151
合計 293

雇用形態別

派遣 (注1) 107
パート・アルバイト 66
正社員 33
契約社員 19
その他 28
不明 40
合計 293

(注1)派遣の内訳

事務(うち政令指定業務) 14
事務(政令指定業務を除く) 8
製造 48
その他 10
不明 27
合計 107

都道府県別

都道府県 件数 地方 件数
北海道 3 北海道 3
青森県 2 東北地方 58
岩手県 2
宮城県 31
秋田県 0
山形県 4
福島県 19
茨城県 10 関東地方 108
栃木県 10
群馬県 2
埼玉県 15
千葉県 12
東京都 48
神奈川県 11
新潟県 1 北陸地方 1
富山県 0
石川県 0
福井県 0
山梨県 0 甲信地方 2
長野県 2
岐阜県 2 東海地方 40
静岡県 11
愛知県 25
三重県 2
滋賀県 2 近畿地方 7
京都府 0
大阪府 2
兵庫県 3
奈良県 0
和歌山県 0
鳥取県 0 中国地方 10
島根県 1
岡山県 7
広島県 1
山口県 1
徳島県 0 四国地方 0
香川県 0
愛媛県 0
高知県 0
福岡県 2 九州地方 2
佐賀県 0
長崎県 0
熊本県 0
大分県 0
宮崎県 0
鹿児島県 0
沖縄県 0

職種別

職種 件数
製造 88
販売 28
コールセンター 20
旅館・式場・飲食店 16
事務 13
営業 8
運輸・ドライバー 8
娯楽 7
IT 5
倉庫・梱包 5
受付・イベント 4
医療・介護・福祉 3
講師・インストラクター 3
清掃 3
ゴルフ場 3
デザイナー 2
理美容 2
公務非正規 2
建設 2
その他・不明 71
合計 293

雇用を守る震災ホットラインの概要
●主催 全国ユニオン
●日時 3月26日(土)10:00〜20:00
●各地の窓口
 首都圏(代表) 050-5808-9835
 千葉/なのはなユニオン 043-227-3860
 静岡/静岡ふれあいユニオン 054-271-7302
 愛知/名古屋ふれあいユニオン 052-679-3079
 岐阜/岐阜一般労働組合 058-251-7205
 三重/ユニオンみえ 059-225-4088
 兵庫/武庫川ユニオン 06-6481-2341
 岡山/女性・地域ユニオンおかやま 086-225-2023

※詳細のお問い合わせは、派遣ユニオン(担当:関根)までお願いします。
 電話03-5371-8808

計画停電以外にも広がる無休休業-賃金保障なし=生活苦への不安

 被災地以外にある工場で部品の調達ができないなどを理由にした休業、東京にあるコールセンターで地震の後に営業を「自粛」しての休業など、休業手当を支払わないことが違法と判断される可能性が高い相談が多くを占めています。特に派遣会社では、すでに休業手当を出さないといっているケースもありますが、明確に出さないとはいわず、現時点ではいわば様子を見ている状況のようです。さらに、正社員は出勤できる、あるいは正社員には休業手当が支払われ、非正規労働者は除かれるというケースもあります。

【相談事例1】埼玉・40代・女性
夫は製造派遣で自宅待機させられており、給与保障なし。自宅待機は3/14からで、部品が届かないので、自宅待機がいつまで続くかわからないとのこと。自分はパートで、時間を短縮されて収入が大幅減。2年前の悪夢がよみがえる。リーマンショックのときも夫が派遣切りされて言葉にできないほどの苦労をした。小さな子供がいて生活が苦しい。一家心中も考えてしまう。

【相談事例2】東京・30代・男性・契約社員・機械製造
直接地震の影響はないが、会社から休むよう言われ、「無給」と発表された。「有休をあててもよい」という。正社員は公休で賃金減額されないのに、非正規だけ扱いが違うのはおかしい。

【相談事例3】長野・40代・女性・契約社員・製造
製品が入らず休業。年次有給休暇のある人は年次有給休暇を取得したものとして扱われているが、ない人は払われない。次回の更新がされるか不安だ。

【相談事例4】東京・女性・事務派遣
3月14日は出社したがすぐ退社命令。その後休業。賃金の保障があるのかを聞いたら、有給は使っていいが、休業保障はしないと言われた。会社は全く話し合いに応じようとしない。

【相談事例5】三重・40代・男性・製造派遣
3月末まで自宅待機になった。派遣会社は賃金保障をどうするか来週はじめに考えをまとめると言っている。たぶん無給だと思う。

【相談事例6】神奈川・40代・男性・製造派遣
本社が福島にあって3月14日から部品が届かず、夜勤がなくなり日勤のみになった。このままでは賃金が減額になる。

【相談事例7】東京・女性・事務派遣
計画停電を理由とする休業。手当の支払いはなさそう。別の派遣先に移るよう提案された。

【相談事例8】東京・20代・男性・アルバイト・コールセンター
3/11から自宅待機を命じられた。3/22に会社に集められ、「次を探す人は探してください。残る人は引き続き自宅待機」と言われた。休業補償については「払うとも払わないとも言えない」とのこと。生活できないので退職して他を探すしかないのか。

【相談事例9】茨城・女性・ネイルサロン
駅ビルで働いていたが、立ち入り禁止になり休業。他の店舗の整理などをさせられたが、「ボランティア」と言われた。休業手当も払ってくれそうもない。1日8時間週5日働いていたが、雇用保険には入れてもらえなかった。

【相談事例10】山形・60代・女性・パート・製造
コンビニの弁当作りをしている。具材が入らず無給の休業になった。高齢なので解雇されるのが怖い。

【相談事例11】埼玉・30代・女性・アルバイト・販売
震災以後休業。社員には休業手当を支払うが、非正規はわからないと言われた。

【相談事例12】福島・50代・女性・旅館
温泉旅館で働いていた。地震の被害はないが顧客が減り営業できる状態ではないと休業。このまま解雇になるとの噂もある。

【相談事例13】栃木・女性・準社員・飲食店
断水しているうえ、仙台にある食品工場から材料が入ってこないため休業と言われた。休業期間については有休を使うよう言われた。社員は有休などを使わずに保障されている。再開したら戻ってきてほしいと言っているが、再開のめどが立っていない。

【相談事例14】千葉・40代・女性・公務非常勤
職員がそろわずに窓口を閉鎖。休業手当は出るのかを尋ねたら「民間ではないので出ない」と言われた。

【相談事例15】青森・30代・女性・製造派遣
核燃料の再処理工場で働いている。道路が冠水して通勤できず自宅待機になっている。

【相談事例16】福島・男性・パチンコ店
原発から20キロ圏内なので避難中。休業手当はでるのか。

【相談事例17】茨城・60代・女性・パート・飲食店
働いていた店が津波で流された。雇用保険には入っていなかった。保障はあるか。

解雇、契約打ち切り-広がる雇用不安

 解雇や派遣切りも、被災地以外からの相談が多くなっています。特に派遣労働者を中心にした有期契約労働者については、次回の契約の更新が確約されず、不安が広がっています。さらに仙台市内のコールセンターで働く派遣労働者から「震災後、休業になり、その後、300人が解雇される」という、便乗解雇を疑われる相談も寄せられています。今回、休業から解雇契約打ち切りという流れになると、リーマンショックを上回る規模での派遣切り、契約切りになることが危惧されます。

【相談事例18】宮城・20代・女性・派遣・コールセンター
震災後、休業になり、その後、300人が解雇される。

【相談事例19】千葉・40代・女性・パート・製造
震災の影響で操業できず休業。4月から遠方の工場にバスを出すので働けるが3ヶ月だけ。その後は解雇と言われている。

【相談事例20】島根・30代・男性・製造派遣
部品が入らず生産ストップ。3/15から休業。ずるずる延ばされ、3/25には「契約を切る」と言われた。「派遣の場合は休業保障しない」とのこと。年収は120万ぐらいだった。来月から働くところもなく、生活苦しい。

【相談事例21】東京・30代・男性・契約社員・IT
2月に入社。正社員の募集だったが、試用期間の2カ月は契約社員と言われていた。クライアントの仕事が3月いっぱいで終わることになり、正社員になるという話もなくなった。

【相談事例22】栃木・20代・男性・試用期間・旅館
震災の影響で営業が難しくなった。全員に対して会社都合にするので退職するように言われている。

【相談事例23】東京・60代・男性・正社員・配達
計画停電で収入が減少した。賃金2割カットでもよいなら継続雇用するがそうでなければ解雇と言われた。

【相談事例24】男性・日雇い・建設
建築関係の日雇い労働。材料搬入出来ないため、工事がストップ。失業状態だが、無保険。仕事に就きたい。

【相談事例25】埼玉・女性・マネキン
生活費の補てんのため休日にマネキンの仕事をしていたが、震災の影響でなくなった。生活が苦しい。
【相談事例26】福島・男性・正社員・営業管理
3月18日に石巻に配転を命じられた。震災の直後だったので「無理」といったら解雇された。

【相談事例27】東京・女性・派遣
福島から介護が必要な祖母など親せき5人が避難してきた。介護のため仕事を休んでいたら「このまま休むなら契約を切る」といわれた。

時給制の労働者が労働時間の短縮で賃金ダウン

 地震、計画停電、原発事故…。こうしたことからサービス業を中心に顧客減が生じています。そして顧客減を理由に労働時間を短縮する、あるいは出勤日数そのものを減少することで、時給制で働く非正規労働者の賃金ダウンにつながっています。通達に準じた計画停電を実施した時間のみを無給の休業にするという取り扱いであっても、時給制非正規社員の生活を苦しめていることには変わりありません。

【相談事例28】埼玉・30代・女性・事務派遣
計画停電の影響により、派遣先が休日のカレンダーや勤務時間を一方的に変更した。派遣会社に問い合わせたら「こんなときなので合わせてください」と言われたが、時給なので困る。

【相談事例29】東京・40代・男性・パート・介護
計画停電の影響で週2日の入浴サービスを週1日にして集中することになったが、みんなは仕事に入れない。夜勤がなくなった分は無給にするといわれている。

【相談事例30】千葉・.女性・準社員・ゴルフ場
呼ばれた日だけ働いていたが、月に20日は働けていた。ところが、原発の影響で客が来なくなり、仕事が減少。生活できない。

【相談事例31】神奈川・60代・男性・嘱託・製造
定年後の再雇用で働いている。計画停電の影響で午前中で帰されたり、午後からの出社を命じられたりしている。

【相談事例32】東京・女性・パート・飲食店
地震の影響で営業時間を短縮。正社員もパートも賃下げになるため反発が起きている。

【相談事例33】宮城・50代・女性・正社員・営業
生命保険の営業。基本給+出来高で賃金が決まる。出来高がもらえなくなると賃金が安くなる。

震災に便乗して内定取り消しも

 震災に伴う内定取消の相談も寄せられました。解雇や派遣切りと同様、震災に伴う内定取消も規制されるべきです。

【相談事例34】東京・20代・女性・正社員・栄養士
娘のこと。4月から就職が決まっていたが自宅待機になった。苦労して入った会社なのに内定取り消しが怖い。

【相談事例35】宮城・女性・正社員
内定が決まっていたが、電話が入り「家に行くので家族で話を聞いてほしい」と言われた。内定の時期が遅れるのは仕方ないが、取り消されるのは困る。

【相談事例36】男性・製造派遣
母親からの相談。息子のこと。派遣会社で自動車工場に派遣されて働くことが決まっていたが、震災の影響で自宅待機と言われた。内定取り消しの可能性もある。

その他-雇用保険特例措置の迅速な対応を

 直接的な被災地や原発の避難区域に住んでいた方の中には、まさに着のみ着のままで避難した方も少なくありません。原発の影響で東京に避難している。「ハローワークに手続きに言ったら「離職票が必要」といわれた」との相談がありました。どんなに手厚い特例措置を設けても「絵に描いた餅」です。迅速、かつ、柔軟な対応が求められます。

【相談事例37】福島・女性・契約社員
原発の件で福島から東京に避難している。介護施設で働いていたが、会社も福島から撤退したとの話。雇用保険に加入していたので、ハローワークに行ったが、「離職票が必要」と言われた。

【相談事例38】三重・20代・女性・事務派遣
外資系企業。元々、東京にオフィスがあったが原発の影響で遠方に引っ越した。会社はホテルを用意してくれているが、東京に帰りたい。

「雇用を守る震災ホットライン」報告(PDF 232KB)