NEWS News
2025/07/15
取組み
大正大学における不当解雇・教育研究妨害

大正大学を運営する各宗門に公開質問状を送りました。
西巣鴨にある仏教系大学「大正大学」(理事長:柏木正博、浄土宗「円覚寺」住職)で、地域創生学部の専任教員が解雇されました。解雇理由はすべて反証できるものでしたが、大学は団交を拒否。事実の歪曲と捏造により、大学卒業生にも被害が出ています。
2025年7月15日
学校法人 大正大学を運営する各宗門
浄土宗 宗務庁
天台宗 宗務庁
真言宗豊山派 宗務所 御中
真言宗智山派 宗務庁
時宗 宗務所
仏教的倫理に基づく大学運営に関する公開質問状
-不当解雇、教育研究妨害、女性蔑視の人権侵害、地域活動の抑圧の事件について-
1.事件の概要
私たちは、貴宗門の教育機関である大正大学の活動に心を寄せ、同大学から本年3月31日、不当に解雇された専任講師を支援している関係者の有志です。このたび、同大学において、長年にわたり真摯に教育・研究に従事してこられた同教員が、極めて不透明な調査と手続により、理不尽な解雇処分を受けた実態が明らかになってきています。
この解雇は、同教員が代表となる共同研究申請と同時期に、外部からの虚偽の通報を口実に調査が開始されたもので、実質的な弁明機会がなかったこと、挙げられた解雇理由がすべて事実に反しているなど、教育研究機関として著しく不適切な手続を伴うものでありました。
これまで2回の団体交渉において、解雇調査を口実として合理的理由なく同教員が取組む地域教育研究が停止された経緯や、柏木正博理事長(浄土宗僧侶・稲城市所在「円覚寺」住職)が過去に行った法令に違反した公益通報調査の実施、解雇の根拠の一部である授業評価アンケートの不適切利用かつ改ざん疑いが濃厚という悪質な不正が行われた実態も判明してきました。これについて東京ユニオン保有の反証証拠との突合を大学側に求めたところ、大学側は一方的に団体交渉の打ち切りを通告している状況です。
さらに、理事長指示下にある同教員の上司教員が、解雇された教員の名誉を傷つける情報を学内や地域に流布し、同教員の研究協力者の卒業生女性に対しても教員と男女問題があるなどの人格を貶める発言を行っていたことが録音等で明らかになっていますが、大学はこれを放置しています。これらは、仏教が説く八正道、特に「正見」「正語」「正命」に著しく背く行為ではないでしょうか。
以上の事案について、貴宗門へ5月27日付文書「仏教精神に基づく公正な学びの場の回復を求めて—大正大学における不当解雇と教育研究妨害に関するご報告とお願い—」により、倫理的観点から問い合わせましたが、何らご返信をいただいていません。
こうした中で、次の項目に掲げるような深刻な問題が、大正大学の建学の精神「智慧と慈悲の実践」や宗門の倫理に明らかに反する形で、継続しております。
2.主な問題点
(1) 虚偽通報を端緒とした違法調査と不当解雇強行、学問の自由侵害
学外からの事実無根の「男女関係の問題」等の虚偽通報を口実として、通報とは無関係に秘密裏の解雇調査が行われました。
解雇調査に先立って、何ら合理的な理由を示さずに同教員が進めてきた教育研究活動が停止され、地域住民との連携や卒業生協力による実践教育が、大学執行部により中断・排除されました。調査内容は同教員に知らされず、同教員は実質的な弁明ができないまま、問答無用の恣意的な解雇が強行されました。
(2) 事実に反する解雇理由の数々、法令違反の調査と手続き
同大学は、解雇理由として、外部の学会関係団体からのクレーム、学内の授業評価アンケート結果や同僚教員及び学生の証言に基づく複数の「職員就業規則」違反をあげていますが、すべて事実に反しており、同教員や関係者が提示可能な客観資料により、容易に反証される内容です。特に授業評価アンケートは同教員が保有するものと異なっているなど、大学当局によって悪質な改ざんが行われた疑いも濃厚です。
また、解雇理由に含まれていた過去に同教員に交付された公益通報者保護法による調査に基づく「指導書」についても、当時の専務理事(現理事長)柏木正博氏が公益通報者を開示するなど制度の根本を損壊する行為を行っており、さらにこの文書に記載している根拠事実について同教員へ全く聴取していないことも録音によりわかっています。
こうした事実に反する解雇理由、および重大な法令違反・手続き違反による杜撰な解雇処分は、倫理的に到底許されるものではありません。
(3) 教員への名誉棄損、研究協力者への女性蔑視的中傷、地域住民事業の妨害
理事長指示下の上司教員によって、解雇された教員の不正確な解雇理由について学外へ悪意ある説明がなされました。さらに、同教員の研究協力者の女性卒業生に対しても、同教員と研究現場に同行したことなどを取り上げて男女問題があるとの女性蔑視を含んだ事実無根の差別的中傷を行っており、また、同教員の研究先の地域事業についても偽情報を流布するなど、女性の人権を侵害し、住民の主体的活動を阻む行為が行われています。
これらの深刻な人権侵害や業務妨害事件について、既にユニオンや地域団体等から大学当局へ個別に訴えがなされていますが、大学側はこれを無視し続けています。
(4) 団体交渉の拒否と不誠実な対応
ユニオンの団体交渉要求を大学は拒否し、現在も話し合いを回避する姿勢を継続しています。理事長による「一切交渉しない」「何年でも裁判をやってやる」との極めて強硬で不誠実な発言も記録されています。複数宗派が運営母体である大学の執行部のこのような対応が、宗門の名において許容されるものなのかが問われています。
3.質問事項
(1) 同大学における同教員の不当解雇、女性蔑視を含んだ名誉毀損、教育研究活動妨害による学問の自由侵害などの一連の事態について、宗門としての監督的責任と認識をどのようにお持ちでしょうか?
(2) 解雇対象となった同教員は、学生・地域との連携にも取り組み、高い評価を得ていました。2019年には浄土宗教化高等講習会に講師として招かれ、宗門主催の教育活動にも積極的に協力をしてきた人物です。
この教員を、解雇理由の証拠を一切開示せずに一方的に排除し、さらに同教員の上司教員が同教員のみならず研究協力者の卒業生女性や地域団体の毀損的情報を流布しているにもかかわらず、大学はこうした事態を放置し続けています。
仏教的倫理に照らして容認されるとお考えでしょうか?
(3) 宗門の僧侶が大学理事を務める中、ユニオンに対し冷淡あるいは敵対的に接する姿勢が見られます。特に理事長である浄土宗僧侶の柏木正博氏(稲城市所在「円覚寺」住職)は、「一切交渉しない」「何年でも裁判をやってやる」と言い放ち、その後、一方的に団体交渉を打ち切るという極めて不誠実な対応をとっています。
これは宗教者の姿勢として相応しいものと考えておられますか?
(4) 宗門として、本学のガバナンスの在り方、特に理事長の行動や言動について、内部調査あるいは再発防止の措置を講じるご意向はありますか?
(5) 同大学の100周年という節目にあたり、同大学が掲げる「仏教に基づく教育理念」「智慧と慈悲の実践」と現在の実態の乖離を宗門としてどのように認識されていますか?
また、これにどう向き合っていこうとしているのか、ご見解をお聞かせください。
4.結語
私たちは、宗門関係者の皆様が本事件を重大に受け止め、公開の場での対話と説明責任に応じてくださることを、心より願っております。
回答は、文書にて8月12日までに提示いただけるようお願いします。
本質問状及びご回答は、関係者・支援団体・マスコミを通じて広く公開される予定です。
仏教に立脚する教育と倫理が社会から信頼されるために、誠実なご対応を切に望みます。
大正大学の不当解雇撤回を支援する会・労働組合東京ユニオン
執行委員長 関根 秀一郎
東京都新宿区四谷4-28-14 パレ・ウルー5階
電話 03-6709-8954
Twitter
Blog
書籍

東京ユニオンの30年を面白く書き綴った「闘うユニオン」が発刊されました。
倒産と闘い職場を占拠する、派遣問題に取り組む、組織を独立させユニオン運動を推進する、など血わき肉躍るユニオンの戦闘史。
関口達矢+高井晃で旬報社より1500円+税で発売。
講談より面白い?!破天荒に闘い続ける東京ユニオンここにあり。一読ください。