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第25回派遣トラブルホットライン報告

登録型派遣で繰り返される派遣切り

改正派遣法修正の悪影響が・・・

 リーマンショック後の大量派遣切りから4年、派遣労働者保護をうたった改正法が成立し10月1日から施行されます。しかし、日雇い派遣は原則禁止となるものの、政府原案にあった登録型派遣や製造派遣の原則禁止は国会の修正により削除されてしまいました。
 「改正派遣法を活用しよう」という呼びかけの下に実施した7月7日、8日のホットラインには、2日間で103人、183項目の相談が寄せられました。相談のほとんどが「登録型派遣労働者」からのもので、労働条件やハラスメントをめぐる苦情要望を出しても、それが解雇や雇止めにつながってしまう現状を明らかにしています。
 ILOは日本の登録型派遣の現状に大いなる危惧を表明し、日本政府に対して年内に詳細な報告を提出するよう求めました。派遣ネットは、引き続き労働者派遣法の抜本見直しを求めて行きます。

◆ 第25回 ホットライン 実施要綱 ◆
日時:2012年7月7日(土)・8日(日)午前10時〜午後8時
窓口:NPO法人・派遣労働ネットワーク(☎03-5354-6250)
対応:弁護士、NPO、ユニオンの相談スタッフ等が対応

- 相 談 内 容 の 集 計 結 果 (項目別)-
2日間で受け付けた相談項目の内訳(%は相談者数に対する比率)

相談内容 今回(2012年7月) 前回(2011年7月)
雇止め(契約打切・更新なし) 23(22.3%) 31(31.6%)
解雇(契約の中途解除等) 22(21.4%) 8( 8.1%)
差別・ハラスメント 20(19.4%) 11(11.2%)
労働条件の変更 17(16.5%) 8( 8.1%)
労働時間・賃金(通勤費含む) 16(15.5%) 12(12.2%)
契約と実際が違う 14(13.6%) 10(10.2%)
賃金不払い(休業手当・残業割増、等) 13(12.6%) 22(22.4%)
雇用保険・社会保険 10( 9.7%) 5( 5.1%)
違法派遣(偽装請負・二重派遣等) 7( 6.8%) 5( 5.1%)
期間制限違反・直接雇用希望 6( 5.8%) 3( 3.0%)
産休・育児休業 5( 3.0%) 7( 7.1%)
事前面接 5( 3.0%) 3( 3.0%)
退職トラブル 5( 3.0%) 4( 4.0%)
仕事の紹介がない  4( 4.9%) 5( 5.1%)
紹介予定派遣トラブル 3( 2.9%) 3( 3.0%)
労災・安全衛生 1( 1.0%) 4( 4.0%)
その他 12(11.7%) 4( 4.0%)
派遣関連相談の総項目数 183<103人> 145<98人>

相談の特徴・ポイント

 「リーマンショック後の2年余で雇用を打ち切られた非正規労働者は約30万人。厚生労働省
はその半分以上が派遣労働者と発表しました。(「非正規労働者の雇止め等の状況」集計結果)。
あの大量派遣切りから4年、国会で改正派遣法が成立し、10月1日から施行されます。

矛盾が集中する登録型派遣労働者
今年の派遣トラブルホットラインでは、相談者のほとんどが登録型派遣労働者(日雇派遣・紹介予
 定派遣・常用型派遣はあわせて10件のみ)でした。派遣をめぐるトラブルは、相変わらず登録型派遣労働者に集中していることがわかります。
 相談内容では、雇止め、解雇、ハラスメント、労働条件の変更などに関する項目が上位を占めています(「相談内容の集計結果」表参照)。東日本大震災直後の昨年の場合、雇止めと賃金不払いに集中していたのとは様変わりです。

派遣元・派遣先の調整システムが機能していない
 急増した相談は、「解雇(契約の中途解除)」・「ハラスメント」・「労働条件の変更」の3項目です。相変わらず派遣先の一方的な都合による解雇・雇止めが目立ちます。モンスタークレイマーやハラスメントの被害を受けた派遣労働者の言い分よりも派遣先の意向が優先します。そして派遣元は派遣先にはっきりと物申すより、労働者にしわよせしがちです。派遣労働者からの苦情申立は、逆に解雇や雇止めにつながりかねません(事例6、7、8、9)。
 派遣労働者はもっと声をあげ、要求の実現や現行労働者派遣制度の改正をめざしていかなければなりません。

雇用の不安定が労働者の権利主張を押しとどめる
 厳しい状況の中でも派遣労働者の人間としての権利を求める声は強まっています。「産前産後休暇や育児休業をとりたい」との相談は昨年より減りましたが、年々増加傾向にあります。
 しかし、行政でも十分対応できず、ユニオンに回されてくる事例さえあります(事例22)。
 登録型派遣労働者にとって最大の問題は、要望を出そうとすると派遣会社から契約満了・雇止めをちらつかされることです(事例16)。雇用の不安定が権利主張を思いとどまらせるのです。

それでも強まる、均等待遇を求める声
 改正派遣法では、マージン率など派遣会社の情報公開義務が拡大し、派遣労働者に対する派遣料金明示義務が課されます。また、派遣先労働者との均衡処遇配慮義務や無期雇用への転換推進努力義務も導入されました。
 派遣先正社員との労働条件格差には、大きな不満が渦巻いています(事例15、事例23)。均等待遇の実現へ向けて、さらに一歩踏み出す必要があります。

求められる違法・脱法派遣への厳しい規制
 偽装請負・偽装雇用・専ら派遣・事前面接・・・。違法・脱法は後を絶ちません。悪質な違法派遣先に対する「労働契約申し込みみなし制度」は、実施が2015年10月に延期されてしまいましたが、派遣ネットは、トラブルの具体的解決へ向けた取り組みを支援しながら、さらなる法改正や法運用の改善を求めていきます。

派遣・偽装請負関連の相談事例

時給は入札次第 派遣先に評価されてもマージンに吸い取られる

【相談事例1】一般派遣(官庁)・女性
同じ派遣先に5年間勤務してきたが、入札で2,3年毎に派遣元が変わってしまう。時給も1500円から、1200円、1000円へとどんどん下がってしまった。なんとかならないか。

【相談事例2】研究職派遣・男性
 派遣先がスタッフの賃金を上げてほしいということで契約料金を30円アップしてくれた。ところが、時給は10円しか上がらなかった。到底納得できない。違法ではないのか?

派遣先の一方的都合で解雇・雇止め

【相談事例3】データ入力等・30代・女性
 1ヶ月契約を更新し続けて8か月勤務している。ところが派遣先の業務が縮小するということで、今まで働いていたスタッフの3割程度は雇止めになりそう。生活のため時給の高い夜間勤務を続けてきたが、なんとか残れないだろうか。

【相談事例4】一般派遣・30代・女性
3ヶ月契約を更新したばかりのところで、突然今月で仕事が終了と通告された。異議を唱えると、派遣会社の社員3人に取り囲まれ無理やり退職届を書かされた。契約期間分の賃金を請求したい。

【相談事例5】一般派遣・30代・女性
3ヶ月更新でもうすぐ1年になるところで、派遣先の受託終了を理由に雇止めを通告された。しかし、同じ仕事の募集記事が新たに出ているのを見つけた。入ったときはもっと長期で働けるという話だったはずなのに・・・。

クレーマー対応・ハラスメント被害の結果は・・「雇止め」

【相談事例6】テレマーケティングの営業・50代・男性
 3ヶ月更新を繰り返し5年間同じ派遣先で働いてきた。派遣先社員と対等あるいはそれ以上の仕事をしてきたと思っている(何度も表彰を受けてきた)が、モンスタークレーマーにつかまってしまい、その責任を取らされる形で雇止めを通告された。派遣会社は一定の理解を示してくれてはいるが、派遣先の言い分に従わざるをえないようだ。勤続することで高めてきた仕事の能力がたちまち無にされてしまうのが空しい。

【相談事例7】専門的派遣・30代・男性
 派遣先の上司が変わったところで突然業務上のミスを指摘されるようになった。どうも私がズバズバものを言うのが気にいらないらしい。今まで3ヶ月契約だったのが1ヶ月契約に切り替えられ、次は雇止めになりそうだ。3年間派遣先社員と遜色のない仕事をしてきたとの自負があるのに残念でならない。

【相談事例8】事務系派遣・30代・女性
派遣先上司からの嫌がらせについて派遣先親会社の苦情処理窓口に相談したところ、派遣先と直接話すことを勧められた。ところが、かえってこじれてしまい、契約満了として雇止めになった。派遣元はすぐに次の仕事を紹介するといっていたが、2週間以上経っても未だに何も言ってこない。派遣先・派遣元双方のやり方に納得がいかない。

【相談事例9】専門派遣・30代・女性
外資系の会社に派遣されていたが、上司である日本人役員のパワハラ、セクハラがひどく、体調を崩してしまった。現在派遣元・派遣先の間で今後の対応についての調整が行っているようだが、なかなか方針が決まらなくて困っている。

法改正・行政指導のしわ寄せも、労働者に・・・

【相談事例10】事務系派遣・30代・女性
 半年契約を更新し続け同じ派遣先で勤続10年になる。ところが政令指定の26業務にはあたらないと指導されたらしく、期間制限違反を免れるため突然雇止めを通告された。派遣元と派遣先の言い訳が二転三転していて、許せない!

【相談事例11】事務機器操作・女性
5年間事務機器操作で働いてきたが、実際は一般事務に近い。最近行政から指摘を受けたため派遣会社は派遣先に自由化業務にしてほしいと申し出た。ところが、派遣先が同意しないため、雇止めになる。派遣先は別の派遣会社に移って、今までどおり事務機器操作の名目で働いたらどうかと言っているが・・・どうしたらいいか。

【相談事例12】一般派遣・30代・女性
 新卒時は正社員で就職したがパワーハラスメントにあい退職。次の会社では長時間労働で体をこわした。昨年から派遣でも「長期のしごと」ということで働き始めたが、1年経ったところで、期間制限にひっかかるからと突然雇止めを通告をされた。派遣会社は次の会社を紹介すると言ってはいるが・・・・。

【相談事例13】一般派遣・30代・男性
 同じ派遣先に9年近く働いてきた。派遣法改正の影響か、派遣契約は打ち切りになるが、派遣先の直接雇用になる可能性も出てきている。しかし、正社員ではなく契約社員ということになりそう。労働条件はどのようになるのだろうか?

【相談事例14】一般事務・女性
 専門的業務についての行政指導が厳しくなったせいか、専門派遣から一般派遣に変更され、派遣会社も変更された。ところがそれをいいことに、派遣先はなし崩し的に担当業務を拡大してくる。時給は全く変わっていないのに・・・。

労働条件の一方的変更、切り下げをはねかえすのは難しい

【相談事例15】一般派遣(電話交換業務)40代・女性
 8年半同じ職場で働いているが、正社員と同じ仕事をしていても労働条件には大きな格差がある。いずれ電話交換業務を廃止するとの噂もあり、今回労働契約の内容が若干変更されたが、心配でならない。とにかく何らかの形で仕事を続けられるようにしてほしい。

【相談事例16】OA機器操作・50代・女性
 3ヶ月更新で同じ派遣先に約3年働いている。1回目の更新時には業務内容・賃金ともに一方的に変更された。契約外の業務が多くなったため、時給のアップを要求したが、派遣会社は不満なら次は契約満了になりますとおどしてくる。諦めなければならないのだろうか?

【相談事例17】専門派遣・30代・女性
 専門業務で同じ派遣先で4年働いている(現在は6ヶ月契約)。近々派遣先が移転する予定だが、その場合通勤費が一挙に高くなる。現在も派遣会社によって通勤費が出るところと出ないところがあるようだが、どう対応したらよいだろうか?

退職トラブルと雇用保険の取扱い

【相談事例18】専門派遣・40代・女性
 3ヶ月契約の更新を重ね、これまで5年間同じ派遣先で働いてきた。ところが事業所が再編で統合されることになり、突然雇止めを通告された。派遣元からは次の仕事を紹介されたが、遠隔地への出張があるので断ったところ(育児中である)、雇用保険の離職理由で自己都合退職にされてしまった。

【相談事例19】一般派遣・40代・女性
 今の派遣先に不安を感じたため転職活動をした。ようやく就職先をみつけたが、契約期間中だということでなかなか退職を了解してもらえない。どうしたらいいか。

【相談事例20】一般派遣(保育園)・30代・女性
 インターネットで宣伝もしているが、実際は無届の派遣会社のようで不安だった。契約満了までには期間があるが、2週間ほど前に途中退職を申し出たところ、賃金を払ってくれない。再三督促した結果は、時給を200円カットしたばかりか損害賠償を請求すると言ってきた。不安でしかたがない。

登録型労働者が育児休業をとるには・・・

【相談事例21】一般派遣・30代・女性
 妊娠したため産休及び育児休業をとりたいと派遣元に申し出たところ、まだ1年経っていないからだめだと言われた。産休中にちょうど1年になるはずだが、育児休業はとれないのか?

【相談事例22】事務機器操作・30代・女性
 3ヶ月契約の更新を重ねて3年目となる。産休と育児休業を取りたいと申し出たところ、産休はいいが、そこで契約期間満了となるので育児休業はダメだと言ってきた。労働局雇用均等室のあっせんも打ち切りになり、個人加盟ユニオンを紹介されたが、ユニオンで取り組んでもらえるだろうか。

【相談事例23】専門業務派遣・30代・女性
 以前正社員の時に出向で行っていた会社に今は派遣で働いている。育児休業期間が終了する前に子供の保育園入園がかなわず、やむなく退職したためだが、派遣で働いてみると労働条件の格差は大きい。就業条件通知書に書かれた業務と実際にやっている業務も明らかに異なっており、おかしい。

はびこる偽装請負・偽装雇用

【相談事例24】偽装請負(ソフトウエア開発)・40代・男性
 業務請負契約になっているが、実態は現場で業務指示が行われる違法派遣である。一時は残業が多かったのだが、業績が悪くなると時間外手当が抑えられ収入は激減してしまった。
それでもできれば同じ派遣先で働き続けたいと思っているのだが、偽装請負だとどうなのだろうか?

【相談事例25】偽装雇用・女性
 現状はどうみても労働者派遣だと思うが、契約上は個人業主扱とされ、社会保険や雇用保険には入ってもらえない。「賃金」支払時には電話代や交通費が差し引かれる形になっている。

問題の多い製造派遣・日雇い派遣

【相談事例26】製造派遣・30代・男性
 事前面接を経て採用されたが、有給休暇がもらえない。雇用保険・社会保険の加入手続きも遅れている。

【相談事例27】日雇い派遣(製造)・50代・男性
 1ヶ月契約で働いているが、週3日ほどしか仕事がなくて生活が苦しい。

【相談事例28】日雇い派遣(物流)30代・女性
 派遣先に自転車通勤する途中で転んでケガをして、現在も通院中である。派遣会社に相談したら、「交通事故でしょ」の一言でとりあってくれない。

【相談事例29】日雇い派遣・男性
 社会保険料を取られているのに、健康保険証が交付されない。突然意味不明の天引きもされる。違法ではないのか。

採用を予定した派遣のはずなのに・・・

【相談事例30】紹介予定派遣・20代・男性
 Web制作の仕事をやりたくて上京し、現在紹介予定派遣で働いている。ところが、3ヶ月契約の更新時で打ち切られてしまいそうだ。紹介予定派遣はそんなに簡単に切っていいものなのか。

【相談事例31】紹介予定派遣・20代・女性
 医療事務の仕事をやりたくて紹介予定派遣(2か月契約を3回重ねてOKなら採用)に応募した。ところが先日派遣先から他の仕事をやらないかと打診があった。人手の足りない部署に押し込みたいらしい。断っても断っても承諾を迫ってくるので、もう嫌になってやめたくなった。

派遣ネットでは、日常的にも相談を受け付けています。
<問い合わせ先>
NPO派遣労働ネットワーク
理 事 長 中野 麻美(弁護士)
連 絡 先 渋谷区代々木4-29-4西新宿ミノシマビル2F
電話03-5354-6250 / FAX.03-5354-6252

第25回派遣トラブルホットライン報告(PDF 279KB)